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西 川 哀 歌

2019年05月15日 06:00

No.100
詩:坪井宗康
曲:八木たかし  Key=Am
(1980/01) 1945年6月29日は、岡山空襲があった日だ。6月に入ると岡山市役所のロビーに掲示された詩が「西川哀歌」だった。岡山の中心街を流れる西川には、今錦鯉が泳いでいる。作者の坪井氏は、その錦鯉があの空襲で熱さを逃れて西川に飛び込んだ人間たちに映るのだ。坪井氏と一緒に、西川を散歩しながら当時の事を話してくれた。タイトルから、昔演歌の作曲家が曲を付けてくれたが、何だかちょっと違う!とも・・・。作曲して、山陽放送テレビ「奥さん10時です」で、当時の映像をバックに唄った。その日の前日に坪井氏は、他界していた。坪井氏の最後の詩集のタイトルが「その時のために」だった。後、そのタイトルが耳から羽なれず・・・私にとっての「その時」を創った。(関連記事
Okayama_after_the_1945.jpg
(1945年、岡山市街地)
 川は今日も流れている
白い夏雲両岸の柳 橋を渡る人と車を映して
川は今日も流れている 川は今日も流れている

川は、その日も流れていた
 空は、まだ眠っていた
 町も、まだ眠っていた
 樹も、まだ眠っていた 
 眠りを引き裂いたのは B-29の爆音
 夜を焦がしたのは 油脂焼夷弾の炸裂

空は叫び 町は叫び 木々は叫び 人は叫び
窓は燃え 道は燃え 橋は燃え 人は燃えた
 母は、老婆を連れ 兄は、妹を連れ
 姉は、弟を連れ 川の中へ身をひたし
 橋の下にかたまった
 空を覆うB29 七十機
 降りしきる焼夷弾 六万発
 川に、油が流れ 油に、火が移り
 火は、川面を走った

母が燃え父が燃え 老婆が燃え 子供が燃えた
兄が燃え 姉が燃え 弟が燃え 妹が燃えた
母が燃え父が燃え 老婆が燃え 子供が燃えた
兄が燃え 姉が燃え 弟が燃え 妹が燃えた
 そうして明けた 長い夜 
 空はもう燃えない 叫ばない
 橋はもう燃えない 叫ばない
 川はもう燃えない 叫ばない
 川は、黙って流れている
 川には、水藻が揺れている
 川には、ハエが泳いでいる
 川は、黙って流れている
 でも、昔とそっくり同じじゃない
 いつの頃からか 錦鯉が姿を見せ
 親子連れで 行ったり来たりしている
 赤く焼け爛れた 背びれをひるがえして
 行ったり来たりしている

川は今日も流れている
白い夏雲 両岸の柳 橋を渡る人と車を映して
川は静かに流れている  川は今日も流れている

gakori.jpg akogare.jpg
収録作品集、②(LP)   ④(歌集)

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